【2022.08.10 追記】
この記事の更新版をこちらにまとめました☟
ーーーーーーー
ベトナム国内で注目の若手歌手や、オシャレなインディーズを、
主観まみれで合計12組+α、ピックアップしてご紹介しています、
コラム第2回目の「ベトナムの音楽(ニューポップ)」。
前回は【前編】として、下記6組のアーティストを取り上げました。
01 ・Thinh Suy
02 ・Ngot
03 ・Hai Sam
04 ・Tien Tien
05 ・Quyech
06 ・Bung Mo
↓ 詳しくは、こちらにて。
そして、【後編】となる今回は、下記の6組+αをピックアップしています。
07 ・Mademoiselle
08 ・Marzuz
09 ・Le Cat Trong Ly
10 ・Tau Bay
11 ・Tung
12 ・Mac Mai Suong
+α(こちらもチェック)
① ・nan
② ・8 the Theatre
③ ・HIEUTHUHAI
④ ・w/n
⑤ ・Hiimhii
⑥ ・Denn.
【前編】と同じく、
「とりあえず、ひと通り聞いてみたい。」
という方のために、Youtubeに プレイリスト を作りました。
上のリンク もしくはYoutubeで「ベトナムのニューポップ Indie」と検索すると、記事に登場するアーティストの曲を、ランダムにチェックできるプレイリストがでてきます。
それでは、【後編】の出だしとなる7組目からいきたいと思います。
07
■ Mademoiselle / マドモアゼル
[プロフィール]
最近、ベトナム・ハノイからオーストラリアに引っ越した、インディーズのシンガーソングライター。2016年にリリースした「Loanh Quanh」がヒットし、インディーズ界でもその名を知られる存在に。創作活動に重点を置いているため露出は少ないが、世界のアーティストとコラボするなど、活躍の幅を広げている。
[魅力]
フレンチポップ風の軽やかな曲調と、ささやくような歌声が魅力。
ヨーロッパの街角で流れているような抑揚抑えめの曲は、いい意味で「アジアン」っぽさがなく、とってもオシャレ。ベトナムの音楽を初めて聴く人にもオススメです。
現在オーストラリア在住ということ、本人が "大の旅好き" ということも影響してか、海外っぽさを感じる曲が多いです。
[オススメ曲]
「Loanh Quanh」
自身が、悲しい気持ちのまま家に帰りたくなかったある日。ホアンキエム湖(ハノイ)の湖畔をサイクリングしていて生まれたという、代表曲。
[その他のオススメ曲]
・Tet La / 旧正月(テト)について歌った歌
・mot giac mo / シュールなMVに登場するモデルのHải Lyがキュート
・Chang Trai Mac Ao Xanh / タイトルは「青い服着た男の子」の意味
・Why don’t you come / 全英詩のピアノバラード
[こぼれ話]
オーストラリアのミュージシャン「Floyd Thursby」とコラボし、在ベトナム オーストラリア大使館の後援でリリースした曲「The Glorious Fun」などもあり、国際的なプロジェクトにも取り組んでいます。
08
■ marzuz / マルズズ
[プロフィール]
2000年生まれ、ハノイ育ちのシンガーソングライター。
父は有名なギタープレーヤー「Tran Thanh Phuong」、叔母は歌手「Ha Tran」、いとこはバンド「Ngu Cung」のメンバーという、音楽的な環境にありながら、子ども時代は(父なりの愛として)音楽が禁止に。しかし、自然と曲を作るようになり、12歳で初めて曲を書きYoutubeにアップ。16歳から「marzuz」として活動している。しっとりと歌うフォークから、新進気鋭のプロデューサーと組んだエレクトロ二ックな楽曲まで、幅広く制作。
[魅力]
魅力は、音楽的センスが表れた曲と、大人っぽくも少し鼻にかかったような癒し系ボイス。
アコースティックな弾き語りから、プロデューサーの「Onionn.」や「Kewtiie」、ラッパーの「Gill」などと組んだ電子音楽系まで。バラエティに富んだ楽曲を手掛ける柔軟さも、魅力の1つです。
[オススメ曲]
「Mai」
自身が16歳ぐらいの頃に作った曲。
不思議とハノイの景色が浮かぶ、しっとりとしたバラードです。
[その他のオススメ曲] ※電子音楽系多めです。
・Va The Gioi Da Mat Di Mot Nguoi Co Don(× Gill × Onionn.) ※ヒット曲
しっとり系が好きな方は、「tan」もオススメです。
[こぼれ話]
(本人からすると大きなお世話ですが…)外見的なオンオフの差が激しい Marzuz。
気合いを入れているときと オフのときは別人のようで、オンのときは思わず見とれてしまうモデルのような美人。オフの状態しか知らずにライブに行った私は、オン状態のご本人登場で「誰? 誰?」と、しばし迷子に(失礼)。楽曲も含め、そんな変貌自在なところも魅力の1つかもしれません。
09
■ Le Cat Trong Ly / レ・カット・チョン・リー
[プロフィール]
1987年、ダナン生まれのシンガーソングライター。
ホーチミン市音楽院でビオラのスキルを磨きながら、作曲を開始。2008年にコンテスト「Vietnamese Song」で最高賞を受賞し、注目を集める。以降、華やかな舞台とは距離を置きながらも創作活動を続け、数々のアルバムをリリース。デンマーク在住経験もあり、環境や教育、貧困支援などの社会問題にも取り組んでいる。
[魅力]
まるで昔から存在するような、安定感のあるフォークソングが魅力。ノスタルジックな楽曲が多く、思わずベトナムの原風景が脳裏に浮かんできます。人生にまつわる哲学に富んだ歌詞は、多くの本を読み、多くのことを熟考している彼女ならではかもしれません。
[オススメ曲]
「Giac Mong Lon」
名作が多くて選ぶのが難しいのですが、公式動画があったこちらを。
タイトルは「大きな夢」の意味です。
[その他のオススメ曲]
[こぼれ話]
私は、ホーチミン市のレトロカフェでよく流れてるのを聴いて知ったのですが、その空間にあまりにも馴染むノスタルジックな歌に、てっきり「昔の曲かな」と思っていました。
そんなレトロにも感じる曲は、ベトナムの若者だけでなく、たとえば日本の50.60代の人たちにも愛されそう…。昭和の名曲のような普遍的価値を感じる作品が多いです。
ちなみに現在は、【前編】で登場したハノイのユニット「Quyech」同様、日本のレコード会社「MIDI」が創作活動をサポートされています。
10
Tau Bay/タウバイ
[プロフィール]
Ha Linh(ボーカル)と、Minh Hai(ギター・ピアノ)の 2人組インディーズユニット。
2017年頃からハノイを拠点に活動をはじめ、2018年にファーストアルバムをリリース。ハノイのカフェやライブハウスで、時折ライブを開催。
[魅力]
一番の魅力は、クラシカルで個性的な ハー・リン の声。
高音で揺らぐようなエレガントな声が特長で、フォークやアコースティック、ジャズのような落ち着いた曲調によく合います。
ハノイの窓辺や田舎をサイクリングしながら聞きたい、懐古的で柔らかな曲は、幅広い世代に響くのでは、と思います。
[オススメ曲]
「Chuyen Tinh」
曲名は「ラブストーリー」の意味。
Tau Bayの2人が、ハノイの窓辺に腰掛けながら歌う動画は、クラクションやハノイ弁など、現地の空気ごと感じられます。
[その他のオススメ曲]
・Mot Dao Yeu Duong ※オススメ
・Ban tinh ca viet chung ta ※音と画像が合っていません
(カバー)
[こぼれ話]
Tau Bayの2人は数年前に結婚し、夫婦のユニットになりました。
曲数はまだ多くはなく、少し前にリンが出産したこともあって、最近は表立った活動も少ないようですが、またライブなどで声が聴ける日が待ち遠しい1組です。
11
■ Tung/トゥン
[プロフィール]
1994年生まれ、ホーチミン市生まれのシンガーソングライター。
2013年頃からSound Cloudに曲をアップし始め、2018年の「Xa(Cho den mua gio)」がヒット。楽曲制作に専念するため、それまで働いていた建築事務所を辞め、2020年にデビューアルバムをリリース。英語詞の曲も製作している。
[魅力]
別れや憂鬱、喪失などをテーマにした歌が多く、内容は若干暗めではありますが、ピースフルなリズムや穏やかな声で、バランスのいい曲に仕上がっています。
1曲ごとに個性があり、まるでそれぞれの物語を見ているような感覚にさせてくれます。
[オススメ曲]
12
■ Mac Mai Suong /マック・マイ・スオン
[プロフィール]
ハノイを拠点に活動するインディーズの女性シンガー。
ウイスパー系ボイスが特徴で、「Doan Hoai Nam」や「Cuong Le」などのアーティストの楽曲にフィーチャリングとして参加するほか、「HUB」や「XANH 8+1」など、若手インディーズのコミュニティーにて活動。フランス語や英語の歌をカバーすることも。
[魅力]
魅力は、アーティスティックなウイスパー系ボイス。
私は、一目惚れならぬ一聴惚れしてしまいました。
[オススメ曲]
「Hoa(× Doan Hoai Nam)」
細かく刻まれたメロディーと歌声が個性的。
[その他のオススメ曲]
・Mua(× Doan Hoai Nam) ※オススメ
・Sau ket thuc la bat dau(× Trung Mon)
・Phút giây nghỉ ngơi(MADIHU × Cuong Le)
・Mo(× Doan Hoai Nam × Vu)
(カバー)
・La Vie En Rose (Edith Piaf)
・No Surprises(Radiohead)
+α
ー こちらもチェック! ー
前後編の計12組に加えて、ジャズ や リミックス、ラップなど、さまざまなジャンルを含む注目アーティストもピックアップ。
最後まで読んでいただければきっと「現代のベトナム音楽通」を語れること間違いなしです。
(…語るのは自由ですので 笑)
では、1組目から。
ー 注目① ー
■ nan. / ナン
ハノイで活動する、スタイリッシュな女性シンガー。
アーバンな雰囲気漂うラブソングが多いです。
「Hello(Foolish)itsnk feat. nan & TSL」
都会的なビートにのせて、終わりの近い愛を歌った歌。
そのほか、
「Tinh Dang Nhu Ly Ca Phe(× ngo)」、「I Fall(by itsnk)」や「Lop Dop(pixel Neko ft. nan)」が人気です。
ー 注目② ー
(ジャズ)
■ 8 the Teatre / エイト・ザ・シアター
ジャジーな曲が好きという方は、ハノイを拠点にするジャズチーム「8 the Theater」のセッションをチェックしてみては。
多様な経歴を持つ若いアーティストらが集まり、時折数日限りの "夢の劇場" をオープンする彼ら。Youtubeでは1930年代以降の名曲をカバーし、完成度の高い動画をアップしています。
コロナが落ち着いたら、ハノイやホーチミン市で行なわれるイベント情報をチェックして、ライブ鑑賞するのもいいと思います。
↑ 詳しくはFacebookにて(VN語)。
「I've Got You Under My Skin」
フランクシナトラのカバーで知られる1930年代の名曲を、美人ボーカル「ddets」と「The Red Eyes Band」がスウィングジャズスタイルでカバーしています。
ほかにも
・The girl from Ipanema(イパニマの娘)
・lullaby of birdland(バードランドの子守唄)
などがオススメです。
ー 注目③ ー
(ラップ)
■ HIEUTHUHAI / ヒエウ・トゥー・ハイ
V-POP業界で、近年もっともトレンドの波を感じるのは「ラップ」。
これまでも宇多田ヒカルとコラボ経験のある「Suboi」など、有名ラッパーはいましたが、近年はさまざまなラッパーがメディアに登場し、より身近な存在になるなど人気の高まりを感じました。
ラップというと個人的にも少々敬遠してしまうのですが、ラッパーの中でも曲がポップス寄りで且つイケメン。服装にも好感の持てるハイくん(HIEUTHUHAI)の曲は聞きやすいです。
「De bau troi nhin hai ta(prod. Yusei)」
オシャレなビートにのせたバラード
[その他のオススメ曲]
・1-800-LOVE(HIEUTHUHAI × HURRYKING × MANBO)
・SINH NHAT(prod. Wonderlust) / 誕生日にまつわる歌
・Oishi(ft. thetumeymtu) ←【前編】に登場する「Bung Mo」のボーカルが参加
・hen gap em duoi anh trang ← 2018年Verがオススメ
ー 注目④ ー
(リミックス)
■ w/n / ダブリュー・エヌ
音楽共有サービスやYoutubeを使って、センスあふれるリミックス曲発信しているプロデューサー兼 DJ。
アップの本数が少ないにも関わらず、知名度が高く人気。動画などでは顔出ししておらず、身体は傷だらけ(心配)と、ミステリアスな雰囲気が漂っています。
ー注目⑥ー
■ Hiimhii / 読み方不明
穏やかでやさしいウクレレ弾き語りが特徴の、インディーズミュージシャン「Hai(ハイ)」氏。
ハノイを拠点に活動しており、【前編】で登場したバンド「Quyech」に、(「Ngot」のThang氏の後任として)一時期加入し、その後脱退。 2021年にファーストアルバムをリリースしています。
ー 注目⑥ ー
■ Denn / デン
ベトナムのカフェチェーン「ハイランズ」で聴いて以来、一時期この一曲だけ脳内再生が止まらなかった、中毒性のある曲です。
「Cho Toi Tinh Yeu」(Prod. Minh Tan)
タイトルは、「愛をください」の意味。
欲張った結果、
【前編】6組
【後編】6組 (+α)6組 と、
合計18組まで 増えてしまいましたが…現時点でのオススメを網羅できたかなと思います!
実際書いてみて、改めて思ったことは、
"ハノイのアーティスト" さらには "インディーズ" が多かったこと。
以前、ベトナム人の友人が「オシャレな曲はハノイに多い」と言っていた通り、
そして、日系レコード会社の「MIDI」が、ハノイのポテンシャルに着目し新レーベルを立ち上げているように、ベトナムのいまの音楽を知るならハノイを外しては語れないのかもしれません。
またもしかしたら、年中南国のホーチミンに比べて、四季のあるハノイでは感性や表現の広がりに影響を与える部分があるのかもしれません。
もちろん一概にはいえませんが、日本の言語表現が繊細で多様なように、細かな描写の引き出しがあるという点が、創作の助けになる部分もあるのかも、と思ったりします。
ーーー
今回紹介したような若手アーティストは、よく「インディー」という1つのカテゴリーとして表現され、度々現地メディアに取り上げられています。
正確にはインディーズではない人も含みますが、"ベトナム音楽業界に新風を吹き込むニューウェーブ" として期待され、これからV-POPにも変革が起きていくのかも、とひそかにワクワクしています。
インディーズが盛り上がり、注目される背景には、YoutubeをはじめSoundcloudやSpotifyなどの音楽共有サービスが浸透し、「若い才能が自発的に発信&交流できる環境ができた」ということが影響しているのかもしれません。
ーーー
ということで今回は、
いま注目のバンドや歌手を取り上げてきましたが、ほかに人気どころでは
「Chillies(チリーズ)」や「Vu(ヴー)」、「Ca Hoi Hoang(カーホイホアン)」など、まだまだいろいろな歌手、バンドがいます。
興味のある方は試しにいろいろ聴いてみては。
※ ちなみに Chillies と Vu は、2020年に米ワーナー・ミュージックが進出してはじめに契約したアーティストです。
中でもヒットメーカーの「Vu」は 先日(7/2)、
同じワーナー所属で、代表曲「7 Years」がYoutubeで10億回再生超えの「ルーカス・グラハム」との、コラボ動画をリリース。
「Happy For You」
一部ベトナム語Verのこの動画は、公開後数日で早くも300万回再生を超え、話題になっています。
幅広いジャンルのミュージシャンが登場し、V-POPも新たな時代を迎えているいま、
海外にも活躍を広げるベトナム人歌手も、より増えていくのかもしれません。
好みの歌手を発掘して応援するもよし、
ベトナムのカフェを訪れた気分で、BGMを流してみるもよし、
自分なりの楽しみ方で、ベトナムの音楽に触れてみてはいかがでしょうか。
0コメント