新時代のベトナムコーヒーが味わえる「Là Việt Coffee」

初訪 2018.08   更新 2021.04.29




ベトナム中南部の高原地帯ダラット(Da Lat)で生まれた、

コーヒーブランド「La Viet Coffee(ラヴィエットコーヒー)」



その最大の特徴は、コーヒーの木を育てるところから、果実の収穫、加工、焙煎にいたるまでを、すべて自社管理で行っている点で、

コーヒーの生産だけでなく、自分たちで育てた豆を直接提供する、カフェも経営。


最終工程となる抽出をし、オリジナルの "サードウェーブ系" コーヒーを届けてくれます。



たとえば、カカオ豆からチョコバーになるまでを一貫管理するのが「ビーン トゥ バー(Bean to Bar)」チョコレートなら、

La Vietのコーヒーは、いわば「ツリー トゥ カップ(Tree to Cup)」コーヒー。



大きくわけて2種類あるコーヒー豆(ロブスタ種・アラビカ種)のうち、手間がかかり、栽培技術を要するアラビカ種をダラットで栽培し、乾燥や生豆の選別など、各工程を厳しく一貫管理しています。


インスタントコーヒーなど、低価格で取引されているのが主にロブスタで、高価で高品質な豆がアラビカとされており、さらに標高の高い場所で栽培されたものがより高品質といわれています。

高原地帯であるダラットは、標高1500m。

質の高いコーヒーながら、自社生産のためリーズナブルに味わえるのが大きな魅力です。



公式Facebookのこの動画から、実際の製造工程を覗くことができます。

www.facebook.com/LaVietCoffee




カフェの1号店は、栽培の地でもあるラムドン省・ダラットに、ファクトリーも兼ねてオープン。

倉庫風のオシャレな店内でおいしいコーヒーが飲めると、当時から地元で評判でした。


その後、2018年7月にホーチミン市に進出。

質の高いコーヒーをリーズナブルに、いろいろな味わい方で楽しめると人気になり、2021年4月現在、ハノイを含め 9店舗まで増えています。




ここでは、ホーチミン市のお店を写真付きで紹介するのですが、先にメニューから。。

※ 全9店舗の情報は、最下部に記載しています。





メニュー


コーヒーは、カプチーノやラテのほか、専用フィルターで抽出するベトナムコーヒーやハンドドリップなど、コーヒーだけでも種類が豊富。


ココナッツミルクコーヒーやコールドブリューカクテル、ラベンダー風味のミルクコーヒーなど、思わず試してみたくなるバリエーション豊富なコーヒーが揃います。


※ メニューは、各エリアで少々異なりますが、詳しくは 公式Facebook にて。




「アメリカーノ」3万5000vnd(約170円)

すっきりとした軽やかな酸味とバランスのいい苦みは、クッキーやクロワッサンなどのペストリーにもよく合います。





「ワッフル(Banh Waffle)」6万vnd(約300円)

焼きたてのうちに食べたい、フルーツ添えワッフル。

もっちりというより、サクッと軽いタイプです。




「アイスラテ(Ice Latte)」4万5000VND(約220円)

コーヒーのコクもしっかり感じられる、まろやかラテ。



「コールドブリュー マルガリータ(Cold Brew Margarita)」 5万5000vnd(約260円)

清涼感のあるコールドブリューに柑橘系の酸味や、粗塩の塩気が効いた、ノンアルコールのコーヒーカクテル。




「スアチュアネップカム(Sua Chua Nep Cam)」5万vnd(約240円)

黒もち米とヨーグルトと合わせた北部のデザート。

斬新な見た目に反し、日本人のファンも多い、ベトナムのやみつきおやつです。



「ミックスサラダ(Mixed Salad)」6万5000vnd(約310円)

ロメインレタスに豆やベーコン、ポーチドエッグがのった食べ応えのあるサラダ。



フードはほかにも、フォー焼きそば(Pho Xao)バインミー(Banh Mi)パスタなどいろいろあるので、カフェごはん兼ねて行くのもありです。





また、「地元の良質な農産物を提案したい」と、

北部ハザン省オレンジで作ったジャム入りのヨーグルトやワッフル、

ダラットで育てた高糖度のサツマイモなども、メニューに追加。




天日干ししてからローストした

「ダラット産ハニー焼き芋(Khoai Lang Mat)」200g1万5000VND(約70円)

は、小腹が空いたときにぴったりです。




各店頭などではオリジナル商品も販売しており、

コーヒー豆をはじめ、ドリップバッグのギフトボックスなどが購入可能です。



「フィルターバッグコーヒー(Ca Phe Tui Loc)」10万5000VND(約500円)

ティーバッグタイプのコーヒーが10袋入ったボックス。

各店頭のほか、ホーチミン市の「MUJI(無印良品)」などでも販売しています。




↓ こちらは、メニューにもある



「カスカラティー(Cascara Tea)」4万5000vnd(約220円)。


この粒の正体は、「コーヒーチェリー」と呼ばれる コーヒーの果皮と果肉部分で、アサイーの15倍といわれる高い抗酸化作用があるとされています。



La Vietで販売しているのは、アラビカ種のカスカラティー。お湯で抽出するだけなのですが、そのままだと、マテ茶のような少々クセのある甘みがあり、好みが分かれる味なので、ハチミツを入れたり、アレンジして楽しむのがよさそうです。




個人的に、これまで好きだと思ったメニューは、

・アイスラテ

・ココナッツミルクラテ

・キンカンコーヒーモクテル

・アッフォガート

・ミックスサラダ

などです。





そして、もう1つ触れておくべきメニューが。

こだわり系のカフェによくある、抽出方法や豆を選択するメニュー


用語が分からない素人(私)には、毎回難しいなと思うのですが、

La Vietは比較的分かりやすいメニューなので、挑戦しやすいかもしれません。


↑ メニューのはじめにあるページ



順序としては

1. 抽出方法(器具)を選びます。

ベトナムフィルターの「フィン(Phin)」のほか、「V60」「December」「French Press」などから選べます。

私のように何がなにやらという人は、とりあえずフィンか、店員さんに相談してみては(結局 笑)。



2. 豆の製法を選びます。

コーヒー豆を下の3つの製法から選べます。


〈ナチュラル〉

収穫後に洗わず、果実のまま乾燥させて脱殻し、生豆にする製法。ワインのような特有の甘みが特徴。


〈ハニー〉

収穫後に果肉を除去。豆表面のヌルヌル成分を残して乾燥する製法。環境負荷が少ない製法として近年注目されていて、甘みと酸味のバランスが良好。


〈フルウォッシュド〉

収穫後に発酵槽で発酵させてから、水で洗い乾燥させる製法。クリアな酸味が特徴。



3. アイス or ホットを選びます。


以上です。



ちなみに、メニューの豆の欄に書かれている「カティモール(Catimor)」は、アラビカ豆の中でも病気に強い品種で、ベトナムでよく生産されている豆だそう。


3つの製法の中でも、ナチュラル製法は、コーヒーに詳しい人が飲めばすぐ分かるほど特有のフレーバーがあるそうなので、飲み比べて味の違いを体験してみるのも面白そうです。








店舗


■ハイバチュン店(Hai Ba Trung)



路地の中にあり、比較的静かなホーチミン市1号店。

3階建てのフロアごとに少し雰囲気が異なるので、ぐるっと見回して好きな席を見つけてみましょう。(カウンターで最初にお会計するシステムです。)



↑ 3階はどこか和を感じさせる雰囲気


中心地からのアクセスがいいのは、このハイバチュン店か、次の「バーフイン〜店」です。




■バーフインタンクアン店(Ba Huyen Thanh Quan)



ハゼ鍋(Lau Ca Keo)通りとしても知られる、バーフインタンクアン通りにある店舗。

戦争証跡博物館から徒歩10分ほどの場所にあります。

La Vietの中では小規模なお店ですが、入口にあるテラス席の木陰でのんびりという楽しみ方もありかも。




■トゥースオン店(Tu Xuong)


閑静な3区の路地奥にあり、隠れ家的な雰囲気の店舗です。


街なかから少し離れているものの、席数が多く3フロアあるので、こもって作業をしたいときなどに便利です。




■チャンクアンディエウ店(Tran Quan Dieu)



こちらは、3区といっても空港方面のローカルエリアにある店舗。

中心地からわざわざ行くのは少々遠いですが、近くのファッションストリート「レヴァンシー(Le Van Sy)」通りに行ったときや、鶏塩ハーブ鍋「ラウガーラーエー」の店「Hoi Ngo」に行ったときなどは、ついでの寄り道にいいかと思います。



↓ ハーブ鍋についてはこちら





個人的に「La Viet」が好きな理由は、コスパの良さだけでなく、店員さんの感じがいいところも。

たとえば、一緒に空席を探してくれたり、笑顔で延長コードを持って来てくれたり、レジで冗談をいったり、、


オシャレなお店のすかした接客に傷つきやすい田舎者なので 笑 

フレンドリーなスタッフが多いのは、結構うれしいポイントです。






最後に、ベトナムのコーヒーについての小話を。


ベトナムコーヒーの今昔


仏領時代に、ダラットのあるラムドン省やバンメトートなどでプランテーション(大規模農業投資)が行われ、コーヒー栽培が拡大したベトナム。


いまやブラジルに次いで、世界第2位のコーヒー生産大国となりました。


品種の割合でいうと、ロブスタ種 国内生産の9割以上

ブラジルよりはるかに農地の少ないベトナムですが、ブラジルの1.6倍のロブスタ豆を生産し、世界第一位の生産量を誇っています(2019年USDA調べ)。


「ロブスタは木を降れば豆が出てくる」と、大手カフェチェーンのマネージャーがいうほど、栽培が容易といわれ、主にインスタントコーヒーや缶コーヒー用として、低価格で取引されている品種。アラビカ種は近年増えているものの、国内生産の5%未満です。(同調べ)


かつて大量生産の波に乗り、国内のロブスタが急拡大したときは、森林伐採によって山岳地帯に暮らす少数民族を追い出したり、化学肥料を用いて低品質の豆を大量生産させたりと、さまざまな問題があったようです。

※ 一概にロブスタ=低品質というわけではありません。



もともと、苦みが強く、風味の弱いロブスタの味をカバーするために、バターやキャラメルなどでローストし甘い香りをまとわせた、知恵の産物である「ベトナムコーヒー」。

(豆により、砂糖や塩、魚醤を使って焙煎する場合もあり。)


インパクトのある特徴的な風味は、ほかにはないおいしさで、1つの文化として貴重なものなのですが、それとは別に、ベトナムにもサードウェーブの波が到来し、2014年頃から「アラビカ豆を使った高品質なコーヒー」を届けようという動きが進んでいるのも事実。

そこには、「低品質な豆から脱却し、ベトナムコーヒーの価値を向上したい」という思いも含まれています。



街には、質の高い国産アラビカ豆を使った自家焙煎コーヒーや、スペシャルティコーヒーの飲めるカフェが増加。

彼らは、農家を訪ねて品質をチェックしたり、ほかのカフェと共同で勉強会を開くなど、クオリティ向上のための努力を続けています。



(その中で、個人的においしいと思うカフェは、「Saigon Coffee Roastery」「Vietnam Coffee Republic(VCR)」「The Workshop」「SHIN Ca Phe」などです。)



低価格・大量生産の時代から、高品質・価値向上の時代へ向けて。

ベトナムのコーヒー業界がみせる変化に、注目です。


(小話おわり)




ということで、

ベトナムコーヒーの新たな一面を見せてくれる「La Viet Coffee」。


多彩なメニューが揃うので、

コーヒーの新体験から1日を始めてみるのもいいかもしれません。





Là Việt Coffee

FB    

(ブランド) www.facebook.com/coffeelaviet

(カフェ)    www.facebook.com/LaVietCoffeeShops

Web  https://laviet.coffee

@lavietcoffee



[ホーチミン市]

■ハイバチュン店

  191 Hai Ba Trung(Hem 193), Q.3, HCMC

  0889・209・977‬ 

  7:00〜22:00

Map https://goo.gl/maps/aZM2vhBZVduTE3Cm9


■トゥースオン店

  57A Tu Xuong, phuong 7, Q.3, HCMC

  0938 668 570

Map https://goo.gl/maps/7vVHmGs1t3bQyMFNA


■バーフインタンクアン店

  16 Ba Huyen Thanh Quan, Q.3, HCMC

  0325・196・396

Map https://goo.gl/maps/LV6V4q7PPShvZZjY8

7:00〜22:00


■チャンクアンディウ店

  6D Tran Quang Dieu, Q.3, HCMC

  0888・610・516

Map https://goo.gl/maps/BkZrFDDy4LMCz4s26

7:30〜22:00


[ハノイ]

■ハンブン店

  So 3, Ngo 45 Hang Bun, Q.Ba Dinh, Ha Noi

  0866・845・558

Map https://goo.gl/maps/5GeAfpepRx7xLAK16


■ランハー店

  Ngo 57 Lang Ha, P.116D, Khu Tap the 25 Lang Ha, Q.Ba Dinh, Ha Noi

  0866・845・558

Map https://goo.gl/maps/97HtPwL7GUmWgVpZ8


■ハオナム店

 P.102, Khu Tap the Hao Nam, Q. Dong Da, Ha Noi



[ダラット]

■グエンコンチュー店(本店)

  200 Nguyen Cong Tru, P.8, Da Lat 

  0263 3981189

Map https://goo.gl/maps/UHXjhxpNAMG6Tt8SA


■チャンクイカップ店

  4D Tran Quyy Cap, P.10, Da Lat

  0263・3989・919

Map https://goo.gl/maps/DZtP8MSuJifW2uYD8









勝手にベトナム案内

文と写真が 仕事 兼 趣味で、主にベトナム・ホーチミン市のおすすめスポットやグルメを紹介しています。 2014〜ホーチミン市在住。

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